法務基礎セミナー 第1部

Ⅰ 法の基礎

1 法…紛争防止、紛争解決のためのルール

  人は一人では生活できず、必ず人と人との関係が生じる。
  すると、どうしても紛争が生じる。
  *紛争を防止、解決するためのルールとして、法が必要!
 

2 法の目的…紛争防止、紛争解決(人と人とを仲良く生活させる)

  人を苦しめたり、不当な利益を得させることは目的ではない。
  *悪用はしにくくできている!
  民§1権利濫用の禁止・信義則 等
 

3 弁護士の仕事…紛争防止(紛争予防)・紛争解決

  裁判は紛争解決のための最後の手段
  *問題がありそうだと感じたら早目に弁護士に相談!
 
  Q:3000万円の居宅購入について弁護士に1時間相談した場合の料金はどの程度の金額となるか?


  ※1法律の条文の読み方と略し方
    民法第770条1項一号   民§770①一
            二号         二
            2項          ②
 
  ※2善意・悪意
     善意(知らない)  無過失
                 過 失(不注意)
     悪意(知っている)

Ⅱ 債権と物権

人は、意識するとしないと、権利義務に囲まれて生活している。
例 テレビ(所有権、売買、電気)、新聞、会社…
法は、権利を大きく債権と物権にわけて規制している。

1 債権…特定の人(債務者)に対し特定の行為を要求できる権利

例 貸金、売買代金、引渡し、働け、損害賠償しろ…
 
A 特色 相対性…債務者に対してのみ主張可
  債権は債務者以外には請求できない!
 
Q:親は保証人になっていなくても子供の債務を支払う法的責任があるか?
  子供が未成年かどうかにより結論が異なるか?
 
B 債権の発生原因
[原因1]契約…法的効果を生じる約束(←当事者どうしが定めた当事者間のルール)
      →約束した内容に従って債権債務発生
 
     例 売買        消費貸借(貸金)
       賃貸借
       雇傭、請負、委任…
 
Q:借りた金はなぜ返さなければならないのか?
☆契約自由の原則…内容・方式すべて自由
但し、弱者保護、社会政策上の理由等により種々の制限有。
例 民§90公序良俗、利息制限法、農地法…
 
Q:愛人契約は有効か?
 
Q:100万円を年50%の利息で貸したら利息を全額請求できるか?
 
☆契約書…原則として契約成立の要件ではない
        争いが生じた際の証拠
        記載内容を契約(約束)したこととなる
       (注)例外として契約書作成が要件となる場合
        保証、定期借地、定期借家等
 

※契約書作成上の注意点

① 契約書の内容をよく読んで署名すること!
   金額等の重要な部分の白地(空欄)に注意!
   よく読まなかったから気付かなかったは、裁判所では通用しない!
   特に保証人になる際は騙されないように注意する!
 
② 契約書の署名は本人に自署させること!
   実印だから安心とは限らない!
 
[原因2]法の定め (←みんなの代表が定めたみんなが守らなければならないルール)
      →法に定められた要件を満たすと法に定められた内容(効果)に従って債権債務発生
 
   例 債務不履行に基づく損害賠償 (民§415)
 
     不当利得 (民§703)
 
     不法行為に基づく損害賠償 (民§709) 等
 
Q:買った車の納車が遅れたらその間のレンタカー料を請求できるか?
 
Q:おつりを貰い過ぎたら返さなければならないか?
 
Q:チンピラに殴られたら治療費を請求できるか?
 

2 物権…物を直接支配してそこから利益を得る権利

例 所有権、抵当権…
 
A 特色 絶対性…万人に対して主張可
      所有権は誰に対しても主張できる。
      抵当権は第三取得者に対しても主張できる。
 
☆物権法定主義 (民§175)
物権は法律に定められた種類・内容しか認められない。
 
[事例1]
Xは、退職金が出たので、甲土地を所有者Yから1000万円で購入し、代金はすべて支払ったが所有権移転登記を行わないまま、甲土地上に1000万円で自宅乙建物を建てて家族と入居した。ところが、Xが乙建物に入居後、金に困っていたYは、甲土地をZにも売却して代金を受領し、同土地の所有権移転登記をZに対して行ってしまった。
 
Q1:甲土地の所有権は、 契約 → 代金完済 → 登記 のどの時点で売主から買主に移転するか?
契約の際の特約の有無により違いはあるか?
⇒民§176
 
 
Q2:Xは、Zから乙建物を取り壊して甲土地を明渡すように請求を受けた場合、それに応じざるを得ないか?
ZがYから甲土地を購入する際に同土地をXが購入していることを知らなかった場合と知っていた場合で結論は異なるか?
⇒民§177
 
Y →①売買→ X     Z:善意⇒?
②売買              悪意⇒?
③登記
 
 
☆対抗要件 物権の変動は、当事者間では意思表示(契約)のみで発生するのが原則だが (民§176)、第三者に対しては取引の安全の保護のため対抗要件を備えぬ限り主張できない。
 
誰が物権を持っているのか他の人に分かりやすくするために対抗要件を設けた。それを守らせるために、怠った場合に第三者に対抗できないというペナルティーを設けた。
このペナルティーは厳しく、第三者の善悪を問わない。
 
    *不動産の対抗要件…登記 (民§177)
 
    *動産の対抗要件…引渡 (民§178)
 
    ◎不動産取引は、金員と登記必要書類との引換が鉄則!
 
      不動産取引の例…通常の売買
                抵当権の設定・抹消
 
登記必要書類
・権利証(現在は発行されず)又は登記識別情報(12桁の英数字の組合せ)
 紛失等した場合→事前通知制度 又は 司法書士弁護士による本人確認
・実印を押した登記委任状
・印鑑証明書(3ヶ月以内)
 
 

Ⅲ 債権の効力

債務者が任意に履行しないとき債権者は何ができるか?
 
[事例2]
Xは、YからY所有の甲自動車を買い、代金を支払った。しかし、Yは、約束の日になっても甲自動車をXに引き渡さない。そこで、急場をしのぐためにレンタカーを借りたのだが、同レンタカーのブレーキに欠陥があったため、電柱に衝突して入院してしまった。

 
Q1:Xは、Yの留守中にYに無断で甲自動車を持って来ることは出来るか?
 
Q2:XはYに対しレンタカー料金を請求できるか?
入院による治療費を請求できるか?
 

1 強制執行 国家が債権を強制的に実現してくれる

例 金銭債権  …差押→換価(競売)→配当
引渡請求権 …執行官が債務者から物を取上げ債権者に渡す
 
但し、債務名義が必要
         判決
         その他 和解調書・調停調書
               公正証書
 
    *自力救済の禁止
      権利は必ずしも一義的に明確ではない。
      平穏を守る。→反すれば窃盗、強盗等!
 

2 債務不履行に基づく損害賠償請求 (民§415)

    賠償の範囲 (民§416)
    通常生ずべき損害  全額
    特別事情による損害 予見可能の範囲内
 
 
☆債権を有していても、債務者に財産がなかったり債務者に多額の債務がある場合は、実際には回収は困難となる。そこで、実際の取引社会では、いかにして確実に債権回収をはかるかに知恵を絞っている。
例 保証人、担保物権(抵当権等)…
 

当事務所で開催予定のセミナーや開催内容について

No タイトル
52 2019年11月14日 「実践!債権回収実務」
51 2019年10月10日 「消費者の立場で、消費者契約法を学ぶ」
50 2019年9月11日 「知っておきたい!労務管理のポイントⅤ(労働条件の設定・変更、メンタルヘルス問題)」
49 2019年8月7日 「ネット炎上対策 ―その原因と初動対応―」
48 2019年7月10日 不動産セミナー「民法改正(債権法・相続法)の不動産取引への影響」
47 2019年6月12日 「知っておきたい!労務管理のポイントⅣ(退職・解雇・雇い止め)」開催
46 2019年5月8日 「入管法改正と外国人雇用の注意点」開催
45 2019年4月10日 「法への苦手意識を無くして新年度をスタート! 『仕事に必須の法の基礎知識…契約、債権、物権、不動産登記、強制執行等』」開催
44 2019年3月13日 「改正後の相続法とその注意点」開催
43 2019年2月13日 「労務管理のポイントⅢ(ハラスメント対応)」開催
42 顧問先様限定 2019年1月10日 「民法大改正のポイントと注意点」開催
41 2018年12月13日 「企業不祥事対応の勘所」開催
40 2018年11月8日 「外国人を雇用するときの注意点とポイント」開催
39 2018年9月13日 「知っておきたい!労務管理のポイントⅡ(労働時間管理・有給休暇の注意点・残業代請求対応の注意点)」開催
38 2018年8月8日 「労働契約法20条~期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止~」開催
37 2018年7月12日 「定期建物賃貸借の活用と注意点」開催
36 2018年6月14日 「賃料滞納や立退き問題への上手な対応」開催
35 2018年7月11日 「それ、誇大広告になっていませんか?」開催
34 2017年4月12日 「どう防ぐ?ネット『炎上』トラブル対応の基礎」開催
33 2017年3月8日 「高齢者施設の法的トラブルあれこれ」開催
32 2017年2月9日 「生命保険は相続対策にこんなに使える!」開催
31 2017年2月9日 「知らないと損!賃料滞納への上手な対応策&民法改正への準備」開催
30 2017年2月8日(水) 「労務管理の基礎知識Ⅲ」開催
29 2017年1月11日(水) 「取引先倒産への上手な対応策」開催
28 2016年12月8日(木) 「紛争予防・解決のための労務管理の基礎知識Ⅱ」開催
27 2016年10月13日(木) 「紛争予防・解決のための労務管理の基礎知識」開催
26 2016年9月7日(水) 「事業者から見た消費者契約法と特定商取引法」開催
25 2016年8月9日(火) 「契約書チェックの基礎①…売買契約書を題材として 」開催
24 2016年7月13日(水) 「小口売掛、賃料等の少額債権の回収方法 」開催
23 2016年5月11日(水) 「下請代金の回収の実務と建設業法,下請代金法 」開催決定
22 2016年4月13日(水) 「定期借家の基礎と注意点」」開催決定
21 2016年3月9日(水) 「企業による個人情報の管理について」開催決定
20 2016年2月9日(水) 「法務基礎セミナーⅡ」開催決定
19 2016年1月13日 法務基礎セミナー 第1部
18 2015年7月8日第24回顧問先セミナー「家族信託の基本と円満相続のための活用法」参加者募集
17 2015年7月8日(水) 第24回顧問先セミナー詳細決定
16 2015年6月10日オープンセミナー開催のご報告
15 2015年6月10日 6月28日(日)セミナー「家族信託の基本と円満相続への活用法」の講師を務めます
14 2015年6月10日 オープンセミナー「従業員による金銭着服と民事刑事対策」を開催いたします
13 2015年 5月13日 オープンセミナー開催のご報告
12 2015年5月13日 オープンセミナー「円満離婚のための基礎知識」を開催いたします
11 2015年5月13日 オープンセミナー「円満離婚のための基礎知識」の開催決定
10 2015年4月8日 第23回顧問先セミナー開催のご報告
9 2015年4月8日 第23回顧問先セミナー詳細決定
8 2015年3月11日 オープンセミナー開催のご報告
7 オープンセミナーのレジュメ公開のお知らせ
6 2015年3月11日 オープンセミナー「法務基礎セミナーⅡ」の開催決定
5 2015年2月16日 オープンセミナー開催報告
4 2015年2月12日 オープンセミナー「法務基礎セミナーⅠ」の開催決定
3 2015年1月8日 第22回顧問先セミナーのご報告
2 2014年12月10日 第2回定例セミナー「定期借家の基礎と注意点」の開催決定
1 2014年12月8日 官澤里美(弁護士)の講演のお知らせ

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