1 債権…特定の人(債務者)に対し特定の行為を要求できる権利
例 貸金、売買代金、引渡し、働け、損害賠償しろ…
A 特色 相対性…債務者に対してのみ主張可
債権は債務者以外には請求できない!
Q:親は保証人になっていなくても子供の債務を支払う法的責任があるか?
子供が未成年かどうかにより結論が異なるか?
B 債権の発生原因
[原因1]契約…法的効果を生じる約束(←当事者どうしが定めた当事者間のルール)
→約束した内容に従って債権債務発生
例 売買 消費貸借(貸金)
賃貸借
雇傭、請負、委任…
Q:借りた金はなぜ返さなければならないのか?
☆契約自由の原則…内容・方式すべて自由
但し、弱者保護、社会政策上の理由等により種々の制限有。
例 民§90公序良俗、利息制限法、農地法…
Q:愛人契約は有効か?
Q:100万円を年50%の利息で貸したら利息を全額請求できるか?
☆契約書…原則として契約成立の要件ではない
争いが生じた際の証拠
記載内容を契約(約束)したこととなる
(注)例外として契約書作成が要件となる場合
保証、定期借地、定期借家等
※契約書作成上の注意点
① 契約書の内容をよく読んで署名すること!
金額等の重要な部分の白地(空欄)に注意!
よく読まなかったから気付かなかったは、裁判所では通用しない!
特に保証人になる際は騙されないように注意する!
② 契約書の署名は本人に自署させること!
実印だから安心とは限らない!
[原因2]法の定め (←みんなの代表が定めたみんなが守らなければならないルール)
→法に定められた要件を満たすと法に定められた内容(効果)に従って債権債務発生
例 債務不履行に基づく損害賠償 (民§415)
不当利得 (民§703)
不法行為に基づく損害賠償 (民§709) 等
Q:買った車の納車が遅れたらその間のレンタカー料を請求できるか?
Q:おつりを貰い過ぎたら返さなければならないか?
Q:チンピラに殴られたら治療費を請求できるか?
2 物権…物を直接支配してそこから利益を得る権利
例 所有権、抵当権…
A 特色 絶対性…万人に対して主張可
所有権は誰に対しても主張できる。
抵当権は第三取得者に対しても主張できる。
☆物権法定主義 (民§175)
物権は法律に定められた種類・内容しか認められない。
[事例1]
Xは、退職金が出たので、甲土地を所有者Yから1000万円で購入し、代金はすべて支払ったが所有権移転登記を行わないまま、甲土地上に1000万円で自宅乙建物を建てて家族と入居した。ところが、Xが乙建物に入居後、金に困っていたYは、甲土地をZにも売却して代金を受領し、同土地の所有権移転登記をZに対して行ってしまった。
Q1:甲土地の所有権は、 契約 → 代金完済 → 登記 のどの時点で売主から買主に移転するか?
契約の際の特約の有無により違いはあるか?
⇒民§176
Q2:Xは、Zから乙建物を取り壊して甲土地を明渡すように請求を受けた場合、それに応じざるを得ないか?
ZがYから甲土地を購入する際に同土地をXが購入していることを知らなかった場合と知っていた場合で結論は異なるか?
⇒民§177
Y →①売買→ X Z:善意⇒?
↓
②売買 悪意⇒?
③登記
↓
Z
☆対抗要件 物権の変動は、当事者間では意思表示(契約)のみで発生するのが原則だが (民§176)、第三者に対しては取引の安全の保護のため対抗要件を備えぬ限り主張できない。
誰が物権を持っているのか他の人に分かりやすくするために対抗要件を設けた。それを守らせるために、怠った場合に第三者に対抗できないというペナルティーを設けた。
このペナルティーは厳しく、第三者の善悪を問わない。
*不動産の対抗要件…登記 (民§177)
*動産の対抗要件…引渡 (民§178)
◎不動産取引は、金員と登記必要書類との引換が鉄則!
不動産取引の例…通常の売買
抵当権の設定・抹消
登記必要書類
・権利証(現在は発行されず)又は登記識別情報(12桁の英数字の組合せ)
紛失等した場合→事前通知制度 又は 司法書士弁護士による本人確認
・実印を押した登記委任状
・印鑑証明書(3ヶ月以内)
Ⅲ 債権の効力
債務者が任意に履行しないとき債権者は何ができるか?
[事例2]
Xは、YからY所有の甲自動車を買い、代金を支払った。しかし、Yは、約束の日になっても甲自動車をXに引き渡さない。そこで、急場をしのぐためにレンタカーを借りたのだが、同レンタカーのブレーキに欠陥があったため、電柱に衝突して入院してしまった。
Q1:Xは、Yの留守中にYに無断で甲自動車を持って来ることは出来るか?
Q2:XはYに対しレンタカー料金を請求できるか?
入院による治療費を請求できるか?
1 強制執行 国家が債権を強制的に実現してくれる
例 金銭債権 …差押→換価(競売)→配当
引渡請求権 …執行官が債務者から物を取上げ債権者に渡す
但し、債務名義が必要
判決
その他 和解調書・調停調書
公正証書
*自力救済の禁止
権利は必ずしも一義的に明確ではない。
平穏を守る。→反すれば窃盗、強盗等!
2 債務不履行に基づく損害賠償請求 (民§415)
賠償の範囲 (民§416)
通常生ずべき損害 全額
特別事情による損害 予見可能の範囲内
☆債権を有していても、債務者に財産がなかったり債務者に多額の債務がある場合は、実際には回収は困難となる。そこで、実際の取引社会では、いかにして確実に債権回収をはかるかに知恵を絞っている。
例 保証人、担保物権(抵当権等)…